四国遍路―さまざまな祈りの世界

 私は長宗我部が好きで何度も四国に行っているため、段々と行きたいところが減って来た。そこで四国と言えば遍路ということで、最近は四国霊場八十八ヶ所の寺に長宗我部とは関係が無くても寄っている。
 しかし何も知らないのは失礼だと思い何冊か遍路に関する本を借りたが、ほとんどがお寺の紹介や作法もしくは自身の体験談に関するものばかり。そんな中で遍路の形成や現在の歩き遍路ブームなど俯瞰的な視点からまとめた著書が「四国遍路―さまざまな祈りの世界(出版社: 吉川弘文館、著:星野英紀・浅川泰宏)」である。
 モータリゼーションによる遍路の劇的な変化、歩き遍路への回帰、信仰のための巡礼をしている「おへんろさん」と貧困のために四国を廻っているため忌み嫌われる「へんど」の違い、など他の遍路本では取り上げられない内容が載っている。著者の一人が徳島県出身のためか徳島と高知に関する事例が多かった。
 特に興味深かったのが天保の大飢饉で接待を求め四国に渡る人達と、土佐藩の遍路に対する規制である。江戸時代の遍路に対する当時の人の考え方が多少なりとも理解できた気がする。
 遍路そのものを知りたいと思っている方には良書だと思う。

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