四国遍路―さまざまな祈りの世界

 私は長宗我部が好きで何度も四国に行っているため、段々と行きたいところが減って来た。そこで四国と言えば遍路ということで、最近は四国霊場八十八ヶ所の寺に長宗我部とは関係が無くても寄っている。
 しかし何も知らないのは失礼だと思い何冊か遍路に関する本を借りたが、ほとんどがお寺の紹介や作法もしくは自身の体験談に関するものばかり。そんな中で遍路の形成や現在の歩き遍路ブームなど俯瞰的な視点からまとめた著書が「四国遍路―さまざまな祈りの世界(出版社: 吉川弘文館、著:星野英紀・浅川泰宏)」である。
 モータリゼーションによる遍路の劇的な変化、歩き遍路への回帰、信仰のための巡礼をしている「おへんろさん」と貧困のために四国を廻っているため忌み嫌われる「へんど」の違い、など他の遍路本では取り上げられない内容が載っている。著者の一人が徳島県出身のためか徳島と高知に関する事例が多かった。
 特に興味深かったのが天保の大飢饉で接待を求め四国に渡る人達と、土佐藩の遍路に対する規制である。江戸時代の遍路に対する当時の人の考え方が多少なりとも理解できた気がする。
 遍路そのものを知りたいと思っている方には良書だと思う。

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定本 徳川家康

 徳川家康は有名すぎて改めて本を読もうという気になれなかった。しかし実は良く分かっていない家康についてをもう一度知ろうと思い手に取ったのが「定本 徳川家康(著者:本多隆成)」。
 値段は2800円と少々高いが、論文・史料をもとに『神君』でも『狸親父』でもない家康の生涯を描いてる。逸話の類はほとんど載っておらず、また検地などにページが割いてあるため、人によっては退屈な部分もあるだろうが、従来の家康像しか知らない方に読んで欲しい一冊である。
 個人的に印象的だったのが、駿府における彦坂光正の活躍である。自分のサイトに載せたことがあったので、名前は覚えていたが「大久保長安事件」など重大事件に関わっているとは知らなかった。

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戦国・北条一族(Truth In History 17)

 私は西日本の出身のため東日本の地理・歴史にあまり詳しくない。特に関東の戦国史は複雑なので避けてきた。公方・北条氏・関東管領が入り乱れ、何が原因で戦っているのか良く分からないままだった。
 しかし関東在住の歴史好きの方と知り合い、関東の戦国史について語られるので興味を持ち、買ってみた本が「戦国・北条一族(著者:相川 司)」。
 本書は平安時代から丁寧に関東の歴史を紹介してあり、関東独自の歴史を分かりやすく紹介してある。著者が「多くの戦国関連本が関東戦乱史を省略しがちだが、それでは実態が見えてこない」と書いているが、まさにその通り。戦国時代に興味の比重が大きいと、どうしてもそこだけを見てしまい、関東諸将の戦いの本質が分からないまま終わってしまう。
 そういった方でも本書を読めば、複数の公方が存在する理由、両上杉氏の歴史など、基本的なことから理解することができると思う。
 関東戦国史の入門書としてお勧めの一冊です。