毛利隆元、連絡がないので怒る!(防府天満宮文書の毛利隆元書状)

・原文
近日不申述候、慮外候、仍先日承候御車之儀、定而漸相調可申候哉、肝要候、来十月会ニハはたと如往古可被遂其節事可為珎(珍)重候、尚此者可申候、恐々謹言、
五月七日 隆元
大専坊御同宿中

・意訳
(防府天満宮の別当寺・大専坊に対して)最近は報告がありません。もっての他です。ついては先日聞いた御車(祭礼用の台車か山車)の件ですが、きっとどうにか準備ができているのでしょうね。これは重要なことです。来る十月会(十月祭)には昔からの通りに祭事を実行できることが珍重(目出度いことか大切なことのどちらか)です。なお詳しいことは使者が伝えます。

・感想
 おそらくこの前に、大専坊から毛利家に対して御車の準備ができないため、税の免除か金銭的援助を求める相談があったのでしょう。たとえ特別な措置を求めていなくても祭礼が行えないのは防府天満宮や毛利家にとって一大事です。そのため、大専坊が御車の準備状況を知らせていたにも関わらず、算段がついて安心したのか報告を怠り隆元が怒ったようです。
 「きっとどうにか準備ができているのでしょうね」という言い回しには、隆元の皮肉交じりの嫌味が感じられます。「報告がないということは、順調に準備は進んでいるだろうな、ああ?」というような。
 領国経営の大変さが伝わってくる書状でした。

・追記
 専門の方から「近日不申述候、慮外候」は「(隆元が)最近、連絡をしていなくて申し訳ありません」という意味でしょう、という指摘をいただきました。
 そちらの方が書状の流れが自然ですので、その意訳が正しいと思います。失礼しました。

(防府天満宮)
防府天満宮