・原文
防府松崎天満宮御興二躰内一躰分、駕輿丁退転之儀、自社家中被遂注進候、去年之儀者申談如此一通遣置候き、以此辻自社家被申候、可為如何候哉、彼駕輿丁退転分於理者自社家可被申上候、御伺候て可被仰下候、恐憧謹言
九月廿日 (市川)経好
竺雲恵心
・意訳
防府天満宮の神輿の一体について駕輿丁(かよちょう。輿をかつぐことを職としている者)が役目の途中で逃げてしまったことについて、社家(神職たち)からこちらに報告がありました。昨年の件については話し合って手紙を送っていました。今回のことは社家から竺雲恵心様に報告があったそうですが、どのように対応しましょうか。
その駕輿丁が逃げた理(ことわり。理由、事情)については社家から恵心様に説明されます。この件について恵心様に伺って指示をいただきたいです。
・感想
毛利一族に信頼されている竺雲恵心に対応を求めている内容のようです。現代の感覚で自分が「神輿を担ぐ人がいないなら、誰でもいいから連れてきて担がせればいい」と言ったら、「昔は担げる人に条件があったので、そんなに簡単にはいきません」と窘められました。感覚的にそうだろうなとは思っていましたが。
担ぎ手がいないということは祭礼が実行できないため、防府天満宮や毛利家にとっては一大事だったようです。
