重成の忍耐

 木村重成が15・16歳の頃、大坂城内で茶坊主に冗談を言った。それを真に受けた茶坊主は怒り出し重成に踊りかかろうとしたが、重成は少しも騒がなかった。
「心に思うことがなければそのままにはしておかないのだが、、、」
 そう言い残し去っていった。
 このことがあってから重成は遠慮がちになり一方の茶坊主はますます調子に乗った。ところが大坂冬の陣・鴫野の戦いで重成は初陣ながら戦功を上げる活躍を見せた。
「重成殿が“思うことがなければ”と言ったのはこういう事態のことを考え軽はずみな行動に出なかったのだろう」
 人々は大いに感服した。しかし当の重成は相変わらず遠慮がちにしており、これを見た後藤基次は重成の真意を悟った。
「重成殿の行動を見ると鴫野の戦いでの働きでは満足していないようである。おそらくさらに一働きしようと考えていると見た」
 基次の言葉通り、重成は若江の戦いで覚悟の討ち死にをしている。(『武者物語』)

木村重成の墓
八尾市幸町6−3の幸公園にある木村重成の墓

管理人・・・重成らしさを感じさせる逸話です。

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