不寝番

 大坂の陣の最中に徳川家康は近習の者の中から選んで不寝番を申し付けたいと思っていた。そこである夜、近習の者に尋ねた。
「鉄砲の音が聞こえたが、お前らは聞かなかったか?」
 その中で「聞きました」と言った者には褒美を与え、「聞かなかった」と言う者には「よく寝ていたものだ」と辱めた。このことがあってから、自然に不寝番ができたという。(『披砂楝金』)

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