青春は今だけ

 1615年4月、徳川頼宣徳川家康徳川秀忠らが行なっていた軍議の場に来た。そこで先日、先鋒を希望して断られたことを思い出し泣いていると、松平正綱が慰めの言葉をかけた。
「今日先鋒になれなかったといっても落ち込まないで下さい。まだお若いので先は長く、生きているうちにはこういうことが何度かあります。泣かないでください」
 しかし頼宣は涙を拭いて正綱を睨んだ。
「何を言うか。私の14歳は今しかない!」
 これを聞いた家康は頼宣を賞賛。
「頼宣殿、今の言葉が槍だ」(『紀候言行録』)

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