怪奇現象
大坂の陣が起こる前、比叡山で不気味なことが起きた。そこの僧侶が駿府に来て人に語った。
「覚林という僧の部下で二郎という者が行方不明になり数日して帰ってきた。彼は人にどうしていたと聞かれると『知らない人に連れて行かれていきなり伯耆の大山にたどり着いた。そこでその人が手を掲げると民家から火が出て全焼した。そしてすぐに筑紫の英彦山に登った。その後、大山と英彦山の山伏と一緒に帰ってきた』と話した」
その頃、愛宕・鞍馬・比良から山伏が集まって来ていた。そして自然とそのことに話題が行き、まず最初に鞍馬の僧正が発言した。
「長い間そんな奇怪なことがなかった。東西の合戦が近いうちに起こるだろう」
すると愛宕の太郎が誰とも無く尋ねた。
「勝負はどちらが勝つか?」
そこでその当事者である比叡山の二郎が「東が必ず勝つ。それをすでに見てきた」と語った。しかし誰もが二郎のことを信じなかった。(『難波戦記』)

鳥取県西伯郡大山町にある大山寺
管理人・・・後ろ向きの予言という感じの話ですね。
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