大坂の陣が始まる直前、二条城で徳川家康が藤堂高虎にどのような戦術を取るつもりなのか聞いた。 「特にこれといった作戦はありません。ただ、敵をなんとかして誘き出し、逆に引きこまれないようにし、敵に付け入って損害を与える。それ以外には策はございません」 「そうだ、先鋒というのはそういう風に心得ていたいものだ」 家康は上機嫌で答えた。(『三河物語』)