日本史ドキュメント 大坂の陣

 檜山良昭氏の小説。檜山氏は戦国好きにはあまり知られてないですが、第二次世界大戦のIFものをたくさん書かれており、その手の方面が好きな方には有名な小説家です。
 ストーリーはタイムスリップ装置が存在する近未来で日本の歴史を調べる組織が西暦1624年に一人の人物を送り込み、徳川・豊臣軍の生き残りや庶民からの証言などを元に大坂の陣について調べていく、、、というものです。
 これだけ書くと、一部から不評で伊藤博文暗殺を放送した時には掲示板が荒れまくった『時空警察』のようですが、そんなことはなく内容は至極まともなものです。
 方広寺鐘銘事件から大坂夏の陣までを詳細に描いており、『大日本史料』など一次史料から抜粋した逸話などを絡めながらお話が進んでいきます。小説なので当然架空のお話や人物は出てきますが、私がいろんな資料で見る逸話がちょこちょこ出てきて、『四方山話』で現代語訳する時に参考になったことも結構ありました。下手な大坂の陣関係の本よりも全体の流れを公平な立場から知るにはいいと思います。
 武将の証言の言葉が『候文』口調で書かれていて読みづらかったり、小説の割には淡々と話しが進むので盛り上がりに欠けたり、幸村があまり出てこないので(大坂の陣全体から見ればそれが当たり前なんですが)幸村ファンにはつらかったりなどありますが、私のサイトの『四方山話』が面白いと思う方(数人はいる、、、はず)にはオススメです。