大騒ぎ

 1615年春、再び戦争が起きるという噂が立った。豊臣軍の兵士達は防具や良い馬を求め、稽古に勤しんだため、大坂や京都の人達は大騒ぎをして避難し始めた。
 心ある人は眉を顰めた。
「大坂の者達は仕方のない連中だ。平和な時には刀や弓をしまって、おとなしくしておくべきなのに。家業とはいいながら、時と場合というものがある。心の中に武があるべきなのに、言動で表すなど以ての外だ。『徳川軍が来たら戦って切りあうべきだ』という発言は、無用な兎兵法を天下の大事に出すことは災いの元になる」(『難波戦記』)

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