つい嘘を

 若江の戦い井伊直孝の家臣・日下部源太夫は、木村重成隊の内藤長秋を討ち取って主君に報告した。その後、朝比奈左近も直孝のところにやってきて報告。
「長秋の首は源太夫と私が協力して獲ったものです」
 それを左近が言い終える前に水野九兵衛が走ってきて
「私も協力して討ち取りました」
 と言った。
 この状況に直孝は激怒。
「勇士が首を得ることは珍しいことではない。歴戦の侍がなぜ三人して首一つで争論するのか。言い訳が出来ないくらい恥ずかしいことだ。今後このような恥ずかしいことがないようにするため、嘘を言っている者があれば必ず切腹させる」
 検使に調べさせた結果、源太夫と左近は互いに協力したことを覚えていたが、九兵衛のことを証言する者がおらず、すぐに切腹となった。(『難波戦記』)

若江の戦いで激戦地だった八尾市西郡
若江の戦いで激戦地だった八尾市西郡

管理人・・・この後に続く文章は『誠に武士たる者なら恥じるべきだ』となっています。

Copyright (C) 2003 Tikugonokami.