二重スパイ

 大坂の陣で板倉勝重は、家臣の朝比奈義次をスパイにして大坂城に潜り込ませた。義次は冬の陣で伊東長次の手につき、城中の評議内容を毎日京都に報告した。夏の陣でも樋口雅兼につき豊臣軍の様子を報告している。
 逆に豊臣軍も京都に忍者を入れて洛中を放火を計画。しかし勝重がこのことを察知し、市内から忍者を探し出して十数人を捕らえた。そしてその内の棟梁3人を密かに招き寄せ、徳川軍につくように説得し大量の金銀を与え「あとで扶持米も渡すから」という条件を提示した。
 棟梁達はそれに応じ妻子を呼び人質に差し出した後、大坂に帰り洛中のことを報告した。大坂の陣で洛中に何もなかったのはひとえに勝重の智謀によるものだった。(『老士談録』)

板倉勝重誕生地
岡崎市小美町地内にある板倉勝重誕生地

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