又兵衛の最期

 道明寺の戦い後藤基次(又兵衛)は腰の上を撃ち抜かれたため尻をついて動くことが出来なくなってしまった。
「口惜しい。無念だ」
 基次は悔しがり、槍を振り回し敵がかかってくるのを待っていた。そこに金方平左衛門が来て肩を貸して退こうとしたが、基次が大男の上に大指物を差していたので重く、しかも本人がここで死ぬと言うので退くことが難しかった。
「敵の手にかかるな。私を捨てていけ」
 基次はそう言うとその場で兜を脱ぎ捨てたため、平左衛門は基次の首を落とし田の中に埋めて退いた。この基次の死を敵味方共に惜しんだという。(『北川覚書』)

UPDATE 2012年7月5日
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