禁忌を犯す

 道明寺の戦いの直前、大和衆の総大将・水野勝成の兵が堀直寄
「5月5日に大和の関屋を越えて河内の国府に出てください。主人は大和の諸大名を率いて田尻を越えて河内に入ります」
 と告げた。直寄はこの日先鋒だったため驚き急いで出撃するが、直前に状況を話されたので普通に進撃しても間に合いそうになく激怒。そこで地元の者を呼び近道を聞いた。
「亀瀬経由が近いです。しかし物部氏がその道を通って河内に入って負けてからは、戦に行こうとする者を諌めるため石に首の無い亀を刻みました。それ故に通るのを禁じています。また藤井越えも進んだ軍の旗が兵の手足に絡んだので禁じられています」
 しかし直寄は
「亀瀬が昔からの禁忌といえども、私が人に先立って進み命を捨てて敵を倒して勝利すれば、千年の禁忌を破って愚者の迷いを解くことになる。物部氏が負けて死んだのなら私は勝って生き残ろう。その禁忌が本当かどうかはっきりする。もし戦に負けて死んだのなら後世の勇士の戒めとするがいい」
 と地元の者の忠告を聞かず軍を率いて亀瀬を越えて河内の国分寺に着いた。しばらくして大和衆が遅れて着いている。この直寄の行為を多くの人が褒め称えている。(『大坂陣物語』)

UPDATE 2012年7月3日
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