御所柿

 徳川家康が上洛して二条城にいた頃、京都で落書きをする者が多かった。京都所司代の板倉勝重は探索を希望したが、家康は「そのままにしておけ。どんなことが書いてあるか見てみたい」と答えた。そこで勝重は御所柿(柿の種類。奈良県御所(ごせ)の原産という。果実は扁球形で、種が少なく、甘みが強い。大和(やまと)柿)についている短冊のような物を持ってきて見せた。
 そこには『御所柿は独り熟して落ちにけり木の下に居て拾う秀頼』と書いてあった。
「落書きは禁止するな。はしたないことだが私が見て参考になることもあるだろうからそのままにしろ」
 家康は何度も読み返しながら勝重に命じている。(『古人物語』)

管理人・・・家康はこんな余裕があるようなことを言ってますが内心焦ったでしょうね。

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