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柳の水
陣後、是安は伊達家の家臣となる。政宗は是安が筆の達人だと聞いていたので何か書くよう命じた。ところが是安は拒絶。 「奥州は下国(律令制で最下等の国のこと)なので水が悪く書けないです」 「どこの水でも変わりはないのに、もったいぶることだ」 政宗は呆れた。 「そういう理由ではないです。京都の柳の水でないと書けないのです」 是安が弁解するので、政宗は柳の水を密かに取り寄せて、再び是安を呼んで書くように命じた。 「紙はいいのですが、奥州の水が悪いので自信がありません」 是安が文句を言いながら一行ほど書いてみた。 「これはいい水です。これなら書けます」 「これは地元の清水だ」 政宗が是安を試すために嘘を言うと、是安は解せない様子で答えた。 「それは納得がいかない。柳の水だと思いました」 「お前があまりにも水のことを口にするので、京都から柳の水を取り寄せた。これでも文句を言ったのなら恥をかかせようと考えていたのだ。だが、そのようなことは無かった。その方の筆跡は見事なものだ」 政宗は真実を話して感心している。(『掃集雑話』) Copyright (C) 2005 Tikugogawa. |
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