とばっちり

 長宗我部盛親が処刑された後のこと、盛親の弟・右近は、加藤清正と父・元親が親友だったため、肥後国に預けられていたが、盛親の罪により譜代の家臣・宮崎久兵衛と共に上洛した。そして伏見に着いて藤堂高虎を検使として切腹を命じられた。
 そこで久兵衛も一緒に切腹することを望んだが、高虎は制止。
「いやいや、そなたには切腹の命令は出ていない」
 しかし久兵衛は
「右近様は今まで他人の切腹を見たことがありません。私が見本を示します」
 ともろ肌を脱いで腹を十文字にかき破り、右近に向かって
「このように切腹してください」
 と教えた。これを見た右近は笑って
「心得た」
 と潔く腹を切って果てている。(『参考土佐軍記』)

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