大きな目的のために

 長宗我部盛親は大坂落城後に捕えられ二条城の大手門に晒された。そこに徳川家の旗本二人が通りかかり罵った。
「長宗我部は死ぬべき場所で死なないからあのように見苦しい死を迎えることになるのだ」
 それに対して盛親は、首を振り上げ白目を剥いて叫んだ。
「死ぬべき場所で死なないと恥をかくとは、其の方共のことだ。この長宗我部は命さえあればまた大功をなすから命を惜しむのだ」
 この話が上様(徳川秀忠か?)の耳に入り、旗本二人は切腹を仰せ付けられた。(『拾遺翁物語』)

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