質素倹約

 大坂冬の陣の最中、井伊直孝は二人の家臣を偵察に向かわせたが、雨に濡れて帰ってきたので、自分の着ていた小袖を与えた。そして安藤直次に小袖をもらって、その姿で徳川家康に謁見している。直孝自身はそのように質素な生活をしていたが、戦乱がなくなると、井伊家の家臣達は領地が京都に近いということもあり、徐々に贅沢をするようになった。
 そこで直孝は一計を案じ、江戸から帰る時に、供の者達に木綿の服を着させて帰った。国許の彦根では当主を迎えるということで豪華な服装で待っていたが、供の者達が木綿の服なので不思議に思っていると、直孝が汚れている木綿の服で駕籠から出てきた。これを見た家臣達は自分達の服装を恥ずかしく思い、それから質素倹約に努めるようになったという。(『雨夜灯』)

井伊直孝の墓
東京都世田谷区豪徳寺の豪徳寺にある井伊直孝の墓

管理人・・・都会やその近くに住んでいるといろんな情報が入って来て、どうしても贅沢になっちゃうんでしょう。

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