臆病者

 池田忠継軍は鉄の盾を前に出して橋の上まで進軍した。そこに大坂城より激しい銃撃があったため、兵士達は盾を捨てて小屋に逃げ帰った。それを見た城内の豊臣軍の兵士達は池田軍を嘲笑。
「卑怯者ども。盾を取っていけ。そのままにしておいたら天下の臆病者だぞ」
 すると池田家の家臣・河田太郎左衛門が走り出して、落ちている盾を拾った。そして
「これを見ろ。私は池田家家中の河田太郎左衛門という者だ」
 と声高に名乗って帰った。続いて村山豊前も橋まで行き持ち帰ったので、城から賞賛の声が上がった。
 大坂冬の陣後、豊前は
「盾を取り返しに力自慢の向井十太夫が出るかと思っていたら、河田が一人で出ていっただけだった。十太夫は力はあるが臆病者だ」
 と語ったという。(『大坂陣聞書』)

UPDATE 2011年4月1日
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