狐に化かされる

 1614年12月上旬の夜、豊臣軍の織田長頼に見張りからの報告があった。
「持ち口の玉造方面に、黒門の方面から松明2〜300本が連なって向かって来ています」
 長頼がそちらを眺めると、味方の夜回りにしては人数が多いため敵の夜討ちかもしれないと考え、自ら出馬。すると松明はいったん散らばってあらぬ方向に集まった。そこに向かえばまた松明群は後ろに回り、鉄砲を撃ち掛けてはまた散ってを繰り返し、まるで蝶か鳥のような様子に長頼の軍は敵に近寄ることができなかった。
 そうしているうちに夜明け近くになってしまい、みんな疲れ果ててしまう。
「これは天魔の仕業か、あるいは狐の所業か」
 と人々が話し合っていると、長頼は突然あることを思い出した。
『そうだ!去る秋、栗岡で狐を射たので、その復讐ではないか』
「おのれ、狐め!憎いやつだ。みんな狩り殺せ!」
 と叫んだが、もうすでにどこかへ行ってしまい夜も明けていた。長頼は仕方なく歯噛みして城へ引き上げている。(『浪速全書』)

UPDATE 2011年7月31日
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