重装備

 徳川頼宣の家臣に矢部虎之助という者がいた。虎之助は冬の陣が起こると、目立つために派手な装備で出陣した。3.6メートルの指物と1メートルの大太刀を持ち、兜の前立てには位牌をかたどったものを使用。位牌には『咲く頃は花の数にも足らざれど、散るには濡れぬ矢部虎之助』という歌が書いてあった。
 その出で立ちは人の目を引きはしたが、重さで動きが鈍くなり、手柄を上げることができなかった。そのため家中の者から嘲りを受け、気に病んだ虎之助は断食して自殺してしまった。(『明良洪範』)

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