犬死

 本町橋の夜襲戦で戦死した蜂須賀軍の部隊長・中村右近(重勝)の嫡子・熊蔵は13歳だったが、父の討ち死にを聞いて蜂須賀の陣に来た。蜂須賀至鎮はその志に感心し右近の忠死を惜しんだ。
 その陣中で稲田稙次は熊蔵を慰めるために「そなたの父のかたきの某は討ち取って首は取り返した」と言った。
 しかし予想に反して熊蔵は眼を怒らして稙次に食ってかかった。
「貴殿のせいで父は犬死したのだ!敵が父の首を取って秀頼公の御目にかければ、冥加の至りになり敵も恩賞にあずかるのに口惜しいばかりだ。父のかたきはあなただ!」
 熊蔵が刺し違えようとしたため、驚いた周りの人間がなだめてなんとか丸く納めた。(『異本大坂記』)

本町橋
現在の本町橋

管理人・・・稙次が「首は取り返した」と言った後に「随分忠節ならずや」と言っているんですが、意味が分かりませんでした。

UPDATE 2006年2月23日
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