第40章:サン・フェリペ号事件

 1596年8月28日(9月とも)、フィリピンから北太平洋を経由してメキシコを目指したスペインの船サン・フェリペ号が暴風雨のために土佐沖に難破し、長宗我部元親に助けを求めた。そこで元親は多数の船を出して浦戸湾に曳航しようとしたが、途中で座礁し船底が裂け積荷が内海に漂ってしまった。
 元親は積荷の回収を行ない船員を保護すると、増田長盛のもとに使いを送った。しかし長盛が到着すると事態が急変。船員への待遇が悪化し積荷も没収されることになってしまう。これには航海士が「スペインは虐待する国に対して征服の手始めに宣教師を送る」と発言したためというのは良く知られているが、事実かどうかは不明。
 この事件がきっかけとなり豊臣秀吉が26人のキリスト教徒を処刑した「二十六聖人殉教事件」に繋がったと言われているが、これも真実かどうかは不明である。
 サン・フェリペ号事件、二十六聖人殉教事件共にそのように単純なものではなく、明・朝鮮との講和の決裂による秀吉の苛立ちや、フランシスコ会やイエズス会との関係などが複雑に絡み合って起きたものと考えられている。

UPDATE 2012年11月28日
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