知る権利か、人権か

 先日、ある図書館に行って当地の市誌を見ようとしたら棚に無い。職員に尋ねたところ
「これは書庫にあるので、閲覧許可書に記入して下さい」
 地元の市誌を読むのに閲覧の許可? しかも閉架から出すのに名前だけじゃなく住所や電話番号まで…。おかしいと思いながら記入して提出すると本が出てきた。
 市誌に一通り目を通して必要な箇所を複写申請書に記入すると
「申し訳ありませんが、この本の一部は人権を侵害する記述があるため該当ページはコピーできません」
 はぁ?と思ったところに目に入ったのが、職員が確認のため使っていたのが人権侵害図書一覧(はっきりした名前はなかったと思う)で、そこにあったのは全て県内の市町村誌だった。

 ちなみに今回、館内の検閲に引っかかって人権を侵害すると判断されたのは下記の内容。
『元旦、尼子経久は家来や鉢屋衆(芸人の集団。当時は賤民だった)と共に月山富田城を奪い返した』
 一覧を見た限り、『鉢屋衆』が問題らしい。まあこの逸話は事実とは異なると言われているし必要な部分では無かったが、問題はそこではない。自分が人権問題に疎いせいなのかしれないが、鉢屋衆の記述で誰の人権を侵害しているのか分からない。

 ここの図書館は人権問題に熱心らしく、ネットで検索したところ8年前に『住民から指摘があったため県内の公立図書館に地元の市誌の2冊を所蔵している場合、当該ページを切り取って市に送付するよう求めていた』らしい(のちに県内の図書館から「勝手に改変できない」と拒否されたようだが)。
 そんなことで他の利用者に制限をかけてもよいのか…。図書館の自由に関する宣言には反しないのか…。
 コピー後に職員から
「納得できないのでしたら、今日は館長が休みなので後日電話で説明させましょうか」
 と言われたが断った。話したところで押し問答になって時間が無駄になるだけだし別の図書館でコピーすればいいだけなので。

 図書館戦争のような話だが、まさか自分が現実世界で当事者になるとは思っていなかったため備忘録として書きました。

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